sekiei38 r1 ビルドガイド
このエントリでは、自作キーボードキット sekiei38 r1 の組み立て方を説明します。
導入・準備
組み立ての流れ
自作キーボード「sekiei38」を完成させるには、以下の工程が必要です。
キット内容物確認
キット開封後、直ぐに以下の部品が揃っているかご確認ください。 不足がある場合は、お手数ですが作者Twitterまでご連絡ください。 以降のビルドガイドでご不明な点がありました場合も、可能な限り対応いたしますので、ご連絡ください。
品名 | 個数 | 備考 |
---|---|---|
PCB | 1 | |
ボトムプレート | 1 | |
トッププレート | 1 | |
ミドルプレート | 1 | |
ボトムプレートカバー | 1 | |
kailh スイッチソケット | 40 | うち予備2 |
小ねじ M2 L4.5mm | 14 | うち予備2 |
小ねじ M2 L3.0mm | 14 | うち予備2 |
スペーサー M2 L11.0mm | 5 | うち予備1 |
スペーサー M2 L3.0mm | 9 | うち予備1 |
表面実装ダイオード | 40 | うち予備2 |
タクトスイッチ | 1 | |
3.5mm ミニジャック | 1 |
キット外で必要な部品
sekiei38をキーボードとして完成させるには、キット内の部品のほかに以下の部品を別途購入する必要があります。 すべて遊舎工房様にて購入できます。
品名 | 個数 | 備考 |
---|---|---|
Pro Micro | 1 | |
Pro Micro用スプリングピンヘッダ(コンスル―) | 2 | 2本で1セット |
Kailh chocスイッチ | 38 | |
Kailh chocスイッチ用キーキャップ 1U | 38 | リンク先の「キーキャップ色:クリア」はsekiei38に使用できません |
MicroUSBケーブル | 1 |
組み立てに必要な道具
組み立てに際して、最低限以下の道具が必要になります。
- 半田ごて
- 半田
- フラックス(もしくはフラックス入りの半田を使用する)
- 半田吸取線(または半田吸取機)
- ピンセット
- 精密ドライバ
- 両面テープ
- マスキングテープ
ファームウェア
組み立てに入る前にファームウェアの用意をしておきます。 実際のところ組み立てが先でも問題ないのですが、ファームウェア書き込み済みのマイコンを先に用意しておくことで、半田付け後に簡単に導通確認することができるようになります。 半田付けの経験が少ない方やテスターをお持ちでない方は特にこの工程を先に済ませておきましょう。
コンパイル環境構築
以下の記事を読みながら環境構築をしてください。 非常に丁寧に書かれているので躓くことはないかと思います。
QMK firmware ファームウェアの初歩の初歩 1 - キーボード関係ブログ
デフォルトキーマップ書き込み
Pro Microにデフォルトキーマップのファームウェアを書き込みます。 以下の手順で進めてください。
- 以下のページの「Clone or download」をクリックし、リポジトリをダウンロード・解凍してください。
- "sekiei38"ディレクトリを"qmk_firmware/keyboards"ディレクトリに置いてください。
- カレントディレクトリを"qmk_firmware"にし、以下のコマンドを実行してください。このとき、Pro MicroをPCにUSB接続しておいてください。
- make sekiei38:default:avrdude
- 表示が「...」の連続になったら、Pro Microの「RST」と「GND」の両方の穴をピンセットで刺して、1秒程度で抜いて下さい。通電し、書き込みが始まります。
- 書き込みが成功しているか簡易テストをします。B4とE6の穴にピンセットを刺し、「y」が入力されることを確かめてください。
組み立て
組み立て工程の内容は大きく分けて
- 半田付け
- ボトムプレートカバー貼り付け
- ネジ止め
- Pro MIcro・キースイッチ・キーキャップ装着
となっており、この順番で行います。
半田付け
全ての半田付け作業で、
- パッドを熱する
- 半田を流し込む
の手順を徹底してください。
また、PCBでの半田付け作業は、すべて裏面(パッドがたくさんある面)のみで行います。 裏表に跨って半田付けを行うような事態になったときは、再度このビルドガイドに立ち戻って確認してください。
半田付け作業は、Pro MicroやPCBをマスキングテープで机に固定するとやりやすいと思います。
半田付けが不安な方は、自キ温泉ガイドであるサリチルさんが公開している自作キーボードハンダ付け動画を参考にしてください。
半田付けをするのは以下の部品です。
各半田付けは順番を問いませんが、最もスムーズに作業できるであろう順番で説明していきます。
牛乳を飲む
平常心でなければ良い半田付けはできません。 まずは一杯、飲み干しましょう。
コンスルー
Pro Microにコンスルーを半田付けします。 Helixベータ ビルドガイドのコンスルー半田付けの説明を参照して行ってください。 特に、
- コンスルーの向き
- 斜めになった状態で固定しないこと
に注意してください。
ダイオード・スイッチソケット
ダイオード・スイッチソケットそれぞれの実装箇所と、実装後の状態を図に示します。
予備半田
はじめにダイオードとスイッチソケットの予備半田をいっぺんにしておきます。 図のように、各パーツの片方だけのパッドに半田の山を作ります。
ダイオード
ダイオードには向きがありますので、図のような向きになっていることをよく確認して半田付けしてください。
右手にこて、左手にピンセットを持ち、ピンセットでダイオードをつまみます。 こてを予備半田の山に当てて溶かし、そこにダイオードを差し込みます。 ダイオードの位置を合わせたら、先にこてを離して、さらにそこから1秒ほど待ってからピンセット離します。 こてより先にピンセットを離すと、半田が固まっていないためダイオードの位置がずれます。
その後、ダイオードの反対側のパッドにも半田付けします。
スイッチソケット
図のようにスイッチソケットをPCBに乗せていきます。 パッドに半田の山があるのでぐらぐらした状態になりますが、正しいです。
ダイオード同様に両手に半田ごてとピンセットを持ちます。 ピンセットで、スイッチソケットをPCBに押し付けるように力を加えながら、こてを予備半田に当てます。 すると半田が溶け、スイッチソケットがゆっくり沈み込んでいきます。 最後まで沈んだら、先にこてを離し、1秒ほど待ってからピンセットを離します。
その後、スイッチソケットの反対側のパッドにも半田付けします。
導通確認
完成後のトラブルとして一部のキーが反応しない、というものがありますが、この原因はダイオードやスイッチソケットの半田付け不良であることが多いです。 一見半田でしっかりと固定されて導通もしているようで、実際は導通していないということがあります。 トラブル回避のために、このタイミングで半田付け不良がないかチェックします。
まずPro MicroをPCBの表面に取り付け、PCに接続します。 その状態でソケットの両穴にピンセットを差して通電させ、PCに入力できるか確認します。
入力できないキーがあったら、その箇所のダイオードとスイッチソケットを半田付けしなおしてください。
確認が終わったらPro Microを取り外しておいてください。
タクトスイッチ・ミニジャック
表面から足を穴に差し込み、裏面から半田付けをします。 マスキングテープで固定するなどして、PCBに部品が密着した状態で仕上げてください。
これで半田付けは完了です。
ボトムプレートカバー取り付け
ボトムプレートを包むようにカバーを貼り付けます。
1. 底面
はじめにネジ穴を慎重に合わせ、底面を両面テープで貼り付けます。 1枚目のように、プレート側に両面テープを張り、その上からカバーを被せて穴の位置を見ながら貼り付けます。 貼り付け後、裏返すと2枚目のようになると思います。
2. 上辺・下辺
次に各辺のヒレを折り込んで貼り付けます。 順番は 下辺→斜めの辺→上辺→左右の辺 です。
上下の辺は、以下のように両面テープを貼り、折り込んで貼り付けます。
以下のように、机に押し付けるようにすると上手くいきやすいです。
3. 左右・斜めの辺
レザーが重なっている部分は先にそれらを1枚に接着して、その上で折り込みます。 この辺りは両面テープよりも瞬間接着剤の方がスムーズかもしれません。
以上でボトムプレートカバーの貼り付けは終了です。
右上の貼り付けが甘いですが...問題ないです
ネジ止め①
PCB・ボトムプレート・トッププレート・3.0mmネジ8個・4.5㎜ネジ8個・3.0mmスペーサ8個を用意してください。
ボトム側ネジ止め
まず図のように、ボトムプレートの8か所のネジ穴でスペーサを固定します。 このときに使用するのは3.0mmネジです。
トップ側ネジ止め
その上にPCB・トッププレートの順で乗せ、ネジで固定します。 このときに使用するのは4.5mmネジです。
スイッチ装着
キースイッチをはめ込んでいきます。 そこそこ力を入れてパチンとはめます。
動作確認
スイッチの金属端子が折れてソケットに刺さっていないことがありますので、ここでPro Microを取り付け、PCに接続して動作確認をしてください。 反応しないキーがある場合は、スイッチを付けなおしてください。 場合によってはスイッチの交換が必要になります。
以下の図の右のスイッチは片足が折れており、このままソケットに差し込もうとしても正しく入りません。
確認が済んだらPro Microは取り外さず、次の工程に進みます。
ネジ止め②
ミドルプレート・3.0mmネジ4個・4.5㎜ネジ4個・11.0㎜スペーサ4個を用意してください。 Pro Microの周りの穴にスペーサを通してその上にミドルプレートを乗せ、ボトムプレート側は4.5㎜ネジ、ミドルプレート側は3.0㎜ネジでネジ止めしてください。
完成
お好きなキースイッチを装着して完成です!
お疲れ様でした。しかしまだ作業が残っています。 完成したキーボードをSNSで自慢したり、家族や友人に見せびらかしてください。 また、キーマップやキースイッチを変更したりして自分だけのキーボードを作り上げてみてください。
それでは、よいエンドゲームを。